「でも、私も死んだの…」


『それは違う…わたしの心の音が聞こえるか?』



十六夜の頭を優しく包んで胸に押し当てる



聞こえない…何故?感触も体温も分かるのに心の音だけは聞こえない



だが自分の胸からはとくん、とくんと規則正しく聞こえてくる



『そなたの心の音は聞こえ、わたしの心の音は聞こえないだろう…つまりそなたは"こちら"には来ていないのだ』


「私はまだ…」



半信半疑で見上げてくる十六夜に微笑んで身体を離す



『生きている…何のためにそなたを今まで守ってきたのか分からないではないか…』



呆れたように十六夜を見下ろす刹那に今までのことが分かった



「鈴の音や頭痛は刹那のお墓に触ってる時は和らいだの…」



まさか、と驚いていると十六夜の頬を優しく撫でる



優しく白い指で…



『すまないな…あいつが勝手な真似を』


「あいつ?…皆が戦っているひと?」