「ん、親父たちが風呂長ぇから逆上せろって思ってた……琉威たちは?」


「今日はもう帰ったの」



おどけて言うとふふっと笑って頭を撫でてくれた。嬉しいような恥ずかしいような気持ちに照れているとどすどすと聞こえた



「十六夜ー!」


座っている十六夜に斜め上から抱き着いた親父は十六夜の胸…腹に顔を埋めている。いつもこんな雰囲気になると必ずやって来る



本当に嫌な奴だな



顔をすりすりしている天堂を白い目で見ながら汗を流すべく風呂場に向かった





「お疲れさまでした。桜ちゃんはこの後百鬼夜行なのに稽古して大丈夫なのでしょうか」


「大丈夫じゃ。ワシだって疲れてねぇ。これくらいでへばってたらやっていけねぇしな」



桜李が居なくなって二人で話していたがやはりいちゃいちゃ。十六夜も慣れているためされるがまま。風呂上がりで湯冷めしてはいけないと手を伸ばして羽織を取って掛ける



「…無理はしないでほしいです」


「心配することねぇよ」



にっこり笑った天堂に笑い返した十六夜だがやはり何か腑に落ちないのだった