「……坂井?どうした?」
坂井……?
坂井という言葉に、私の胸がドクンと嫌な音をたてた。
「あー、親父さんが……よかったな」
龍牙は時折笑顔を浮かべて話す。
坂井って、あの花火大会にいた子だよね……。
まだ、やりとりしてたんだ……。
そういえば私、付き合ってもう一ヶ月経つのに、まだアドレス教えてもらってない……。
隣で楽しそうに話す龍牙を見る。
龍牙が悪いわけじゃない。
相談に乗るためのことなんだし、坂井さんだって、きっと過去にツライことがあったんだ。
相談に乗ってくれる人がいることは、きっと支えになってるはず。
悪いのは、それを嫌だと思ってしまう私。
それ以上仲良くしないでと思ってしまう、心の狭い私だ。
少しして、龍牙が通話を切った。
「悪い、坂井から親父のことでちょっと…」
「あ、うん……大丈夫」



