side 龍牙
千愛実が部屋から出て行った後、俺は椅子に腰掛けた。
親父に、まだ言ってないことがある。
伝えなきゃいけないことがある。
「親父……俺、お袋が許せなかったんだ」
家族を裏切り、自ら命を絶った母親。
なにより許せなかったのは、俺たちのために朝早くから夜遅くまで働いている親父を裏切ったこと。
俺は親父が大好きだった。
国のため、国民のため、そして家族を守るために働いている親父が大好きだったし、俺の誇りでもあった。
「今でもお袋は許せない。でも、親父のことを嫌いなわけじゃない」
俺の言葉に、親父がピクッと反応した。
「お袋はお袋、親父は親父だ。だから俺に後ろめたさとか感じなくていい。親父が嫌いだったら、俺仕事の手伝いとかしてねぇし」
親父の目から、一筋の涙が零れた。
「私はお前に謝らなければならなかった。母さんがあんな形で亡くなって、お前に深い傷を与えてしまった……。
私が母さんをちゃんとみていたら、他に男を作ることも、死んでしまうこともなかった……。
お前に一番に言わなければと思っていたのに……。謝るのがこんなにも遅くなってしまった……」
「謝らなくていい。親父が俺たちの為にがんばってくれたことは、俺が一番よく知ってる。
それに、俺にも一生大切にしたいと思える女に出会えた。あいつがいなかったら、こうして親父と向き合うこともなかったよ」
あいつがいつも背中を押してくれるから。
弱気な俺を、あいつが全部救ってくれるから。
だからもう、俺は大丈夫だって。
「千愛実ちゃんか……。最近お前の雰囲気が柔らかくなったのも、あの子の影響だね?
とてもいい子じゃないか。今度家に連れてきなさい。みんなで食事でもしよう」
「そうだな」
千愛実が部屋から出て行った後、俺は椅子に腰掛けた。
親父に、まだ言ってないことがある。
伝えなきゃいけないことがある。
「親父……俺、お袋が許せなかったんだ」
家族を裏切り、自ら命を絶った母親。
なにより許せなかったのは、俺たちのために朝早くから夜遅くまで働いている親父を裏切ったこと。
俺は親父が大好きだった。
国のため、国民のため、そして家族を守るために働いている親父が大好きだったし、俺の誇りでもあった。
「今でもお袋は許せない。でも、親父のことを嫌いなわけじゃない」
俺の言葉に、親父がピクッと反応した。
「お袋はお袋、親父は親父だ。だから俺に後ろめたさとか感じなくていい。親父が嫌いだったら、俺仕事の手伝いとかしてねぇし」
親父の目から、一筋の涙が零れた。
「私はお前に謝らなければならなかった。母さんがあんな形で亡くなって、お前に深い傷を与えてしまった……。
私が母さんをちゃんとみていたら、他に男を作ることも、死んでしまうこともなかった……。
お前に一番に言わなければと思っていたのに……。謝るのがこんなにも遅くなってしまった……」
「謝らなくていい。親父が俺たちの為にがんばってくれたことは、俺が一番よく知ってる。
それに、俺にも一生大切にしたいと思える女に出会えた。あいつがいなかったら、こうして親父と向き合うこともなかったよ」
あいつがいつも背中を押してくれるから。
弱気な俺を、あいつが全部救ってくれるから。
だからもう、俺は大丈夫だって。
「千愛実ちゃんか……。最近お前の雰囲気が柔らかくなったのも、あの子の影響だね?
とてもいい子じゃないか。今度家に連れてきなさい。みんなで食事でもしよう」
「そうだな」



