席が隣なのに話さないあたし達を不自然に思うのは当たり前。


ここはうまく話そう。


「気にしないで!ケンカとかしてるわけじゃないし……疲れてるだけっていうの?」

「そっかぁ。なら、いんたけどさ」


腑に落ちない顔をした朱音は見なかったことにしよう………


あたしは前だけ向いて会議室へ向かう。



「紬さん。遅い!俺、待ったんだけど~」

「ごめんね…嘉瀬くん」

「ほんとにごめんって思ってんなら……そうだな。俺のこと名前で呼んで……?」

「はっ!?ちょ、ちょっと!?」


あたしを壁に追いつめて耳元でそんなこと囁くから……


心臓が忙しく音を立てた。


「ほら……言ってみ?璃玖って……簡単、でしょ?」

「言うからよけて!ね!?」

「はーやーく……ちゅーしちゃうよ?」

「り、璃玖!璃玖くん!」


やっと壁から手を離して満足げな顔で一言。


「よくできました」


金髪くんの誘惑は、後輩とは思えないほど大人びてた。