うまーく誤魔化して紬を海沿いのベンチに座らせた。


多分、嘘だと思われてるから大丈夫だよちな。


そんな時、バン!!と大きな音とともに夜空を彩る花火。


街灯とネオンが光る街には、さらにカラフルな花が咲いた。


「花火だ!写真撮らなきゃ!」

「このまま見てようぜー」

「ヤダ!家帰っても思い出として残したいから♪」


黒ネコが揺れるケータイと、デジカメの両方で交互に写真を撮る。


花火よりも真剣なその横顔に夢中。


紬の全部を俺のモノにしたい………



「つーむちゃん……」

「ん?……んっ…!」


振り向いた紬のピンクの唇に不意打ちのキス。


17年間も一緒にいる相手にキスは、思いの外照れる。


それを祝福するかの様に、ピンクの花火が夜空に咲いた。