左側には、ずっとニコニコしてる紬。


店屋街を抜けると海沿いに出た。


夜なのに、すごい人口密度でこれなら同じ高校がいても分からない状態。


「あっ……風真~。もう少しで花火上がるらしいよ」

「誰から聞いた?」

「さっきすれ違った外人さんが話してた」


鈍感でバカだけど、学力面ではバカのバの字もないほど頭いい。


さすが、高校受験で学力No.1の女子校受けただけある。


結果はダメだったけどな………。


でも、今はこうやって俺の隣で笑ってくれてるから十分。



「あのさっ……」

「ん?」


不安げな面持ちで俺を見上げる。


「朱音…大丈夫かな?苦手な日波くんと二人きりにしちゃったし…」

「大丈夫だろ。いくらちなでも、好きな子襲ったりしねぇーから」

「そうだよね!……えっ、は?………好きな子!?」


あ、ヤベ。


口滑った。