それどころか、立ち上がりどこかに行ってしまった。
……どうしよう。
経験したことのない不安に襲われ、泣きたくて指が小刻みに震える。
緊張した面持ちの風真が戻って来てあたしの目の前に立った。
「ん。こっちがほんとの卒業祝い」
「覚えててくれたの…?」
風真があたしに渡したのは、あたし達が一緒になるための紙。
そう、婚姻届。
昔から変わらない字ですでに『一条風真』と名前が書かれている。
あたしは涙で一気に視界が歪んだ。
大学1年の時の約束………
ちゃんと覚えててくれたんだね?
「あと……コレ。左手……出してみ?」
「あっ……指輪…。キレイ…」
泣いてるあたしにさらに、婚約指輪をプレゼントしてくれる。
今までもらったモノよりも何十倍と嬉しい大事なプレゼント。
止めどなく溢れる涙で、せっかく頑張った化粧ぐちゃぐちゃだよ~!!