【風真side】



学校の前に大きくそびえ立つ桜の木。


満開の桜が舞う中を紬と歩いて行く4月。


今日から高校3年の俺らは、高校生活最後の1年を過ごす。


「ちょっ、意外と風強いんだけど!」

「歩くの遅いっつーの!……ってか、そんなスカート短くしてたら捲れ…痛っ!!」

「黙って!変態!」


パシッと俺の頭を叩いて、膨れっ面で隣を歩くのは幼なじみの紬。


彼女じゃなく幼なじみ。


癖で手を繋ぎそうになる自分が怖い。


まだ好きなんだって実感するから。



「風真~教室行くよ」

「はいはいっ」


紬と繋げなくなった片手は非常に暇です。