「っ…ひ!」
たくさんという単語を聞いて私は思わず後ずさりをしてしまった。
「なんでそんなにビビってるわけ?」
「た、たくさんということは…つまりその…」
ん?て顔を傾けて山上くんは近づいてきた。
「け、経験豊富なんでしょ!!??」
あぁ、なんていって、山上くんはなにか考えているようだった。
「試してみたいの?川上…」
ニヤリと笑って更に歩み寄ってくる。
いつの間にか握られていた手は離されていて、その代わりに山上くんの手が私の頬に触れられていた。
時間が止まったように感じるほど、私はその山上くんの一連の動きに魅了されて動けなくなっていた。
目を伏せて私の顔に山上くんの顔が近づいてくる。反射的に私も目をぎゅっと強く瞑った。
「なーんてな!」
上から山上くんの声が聞こえてきたかと思うと、山上くんは、私の頭を数回撫でた後、ぷぷぷってわざとバカにした笑い方をしてきた。
「たくさんもいるわけないじゃん。俺も川上が初めてだよ。」
本当か、嘘か。
わからないけれども、この山上くんのことを信じていくしかないんだろうなー、か、彼女だから。なんてそんな風に考えた。

