あの夜からミィコはうちに住み着いてしまった。我が物顔でうちの赤いソファに座り、私が座ると必ず膝枕をするあたり、お前の前世は猫だ! と言いたくなる。




 ――――休みだった、その日は。

 その日の朝、サラダをよそっていたら、ミィコがいつものようにじゃれついてくる。




「ミィコ、邪魔だよぉ」

 「んー」と言いながら、離れようとしないミィコにちょっとだけ焦りを感じる私。まさかとは思うけど……? こんな朝っぱらから?! と思っていたのも束の間、足を絡めて密着してくるミィコ。腰にあたる彼の股間が徐々に固くなってくる。




 サラダを作っていた私に横から抱きついてくるミィコにどうしたらいいかわからなくなってくる。サラダを盛り付ける手も自然とゆっくりに。




 あずちゃんの言うように『好き』とは言ってないけどこの先に進んでしまってもいいのかな……? 




 でもさ。年末で。うちも大忙し。昨日もバイトの契約期間が切れて私たちだけで店内の大掃除やXmas商品の後片付けをしてた。だから、すごーーーーく疲れてるんだけど?




「ジーンズって」

「え?」

「なんか脱がせづらい」

 いつもジーンズを履いていることが多い私。今日もジーンズだった。「こっち、こっち」と言われて連れて行かれた場所はやっぱり寝室で。キスは止むことなくいろんなとこに降ってくる。




 首筋にキスをされるとミィコの茶色い髪が顔にかかる。くすぐったいそのキスにミィコがまた愛しくなった。でも、キスに応えるくらいの余裕はあっても積極的になんかするって、今の疲れている私には難しい。




「ねぇ、ミィコ。私、すっごく疲れてんの」




「いいよ、まな板の上の鯉、やっててよ。まあ、マグロってやつ?」



 失礼ね! と言おうとしたら、「旨く料理する自信あるし」なんて言うから顔面が紅潮したわよ、久しぶりに!