* 竜の眠る国 *





 それからしばらくして、マーサが温かいお茶とお菓子を持ってきた。

 私は庭を眺めていた目を、ゆっくりマーサに向ける。



「さあ、お茶を用意しましたよ。
 ハーブを入れてあるから香りを楽しんでちょうだい」


 マーサは、何事も無かったようないつものトーンで私に勧める。

 ……気にしてたのは私だけだったみたい。




「マーサ……あの」


 ほら。

「ごめんなさい」って言わないと。

 早く言わないと……



「失礼いたします…!」

 今までにない大きなノックの後、侍女が真っ青な顔で部屋に入ってきた。


「何事です。騒々しい」


 侍女の様子に、私もナタルもその侍女に目を向けた。

 マーサは訝しげに近付く。


「何か?」

「マーサ様…!大変でございます」


 侍女がマーサに耳打ちすると、彼女の顔が険しくなった。