* 竜の眠る国 *





「え、と……ごめんなさい、本当に悪かったわ。反省してます」


「……もういいわ。
 とにかく汚れを落とさなくては。

 食事の前に湯浴みを」


 近くにいた侍女にマーサが目を向けると、その子は慌てて湯の準備のため部屋を出ていった。

 マーサは「食事の準備を申しつけてきます」と部屋を出ていき、やっと漂う緊張感から解放された。



 こんなに怒られるなんて……城の敷地から逃げ出したわけでもないのに。

 なんで?




 少し納得できなかった私に気付いたのか、ナタルが私に近づき隣に座った。



「マーサ様はとても心配したのよ?」


 言われても分からない。

 そんな私に気づいたのか、苦笑いを浮かべると私の手をソッと握った。