* 竜の眠る国 *





「あ…」


 ………思い出した。



「あなたまだ完治していないのよ?!
 足は泥だらけ、窓は開けっ放し、挙げ句の果てにソファーで眠るなんて…!

 淑女のする行為ではありません!」




 ……ああ。

 お祖母様に言われた言葉そのままだわ。



「ごめんなさい……つい」

 私の続く言葉に、マーサは片眉をピクリと上げた。


「“つい”、ですって?
 つい、夜更けに外に出て窓を開けたままソファーで眠りこけたというの?!」



 マーサの怒鳴り声がだんだん大きくなり、ついには足をバンっと踏み鳴らした。

 瞬間、部屋にいた他の侍女達がビクリと固まる。



 ………やばいわ。

 かなり……いえ、本気で怒ってる……