「レンカ・トラジェン、シアはおまえを気に入っているな」


急な問いかけだ。

レンカは咄嗟に二人の関係を知られているのかと思い、答えに窮した。

しかし、リルアムは何かを含ませているようには見えない。

困惑するレンカの答えを待たず、リルアムは言った。


「レンカ、シアを頼む。危なっかしいやつなんだ」


その言葉が現状のフォローなのか、もっと広義の意味合いなのかレンカには計りかねた。

ただ、リルアムが彼女を特別に想っている感情だけは伝わる。
上官中の上官の言葉にレンカは敬意を込め、背筋を伸ばし直立した。