こうした時、彼女は本当に美しいとレンカは思う。

同時に脳の奥に、夜の姿が過ぎるのは不謹慎だろうか。

ベッドに組みしいたシアは柔らかで深い。
闇間に潤んだ瞳が野生味を帯びる。
紅潮した頬、唇から漏れる声。

自分以外誰も知らないことだ。


「シア、もう少し手加減しろ」


やや離れ、全体を見渡せる位置に従者を連れ騎乗したリルアム・ユースがいる。


「敵が手加減してくれるっていうなら考えるぞ」


またひとり部下をなぎ倒し、シアが答えた。


「もう少し時間をかけないと、訓練にならないだろう」


「時間をかけさせてくれるやつがいればな。
……お、次はおまえか、レンカ・トラジェン」


気付けばレンカの順番となっていた。
邪な妄想などしている場合ではない。


「時間をかけさせてくれるか?」


シアがニィと笑う。