「俺、何人もの上官を見てきたけど、あんな強い人っていないぞ」


「レンカはまだ戦場のシア隊長を見てないんだよな。楽しみにしてろよ。鉄の薔薇姫は伊達じゃないってわかるぜ」


口々に彼女を誉めそやす先輩兵士たち。

レンカは居心地悪さとともに、何やらこそばゆい。
傲慢かもしれないが、我がことのように感じてしまうのだ。


「シア隊長ってもとは南東の村の羊飼いの娘なんだってな」


「うわ、その頃に出会ってたら、確実に嫁にしてるわ」


リゲルが酒をぐいぐい乾しながら言う。

シアの崇拝者は多い。
遊撃特殊においては、ほぼ100パーセントの兵士が彼女を愛し、崇めている。


「リゲルは、戦場のシア隊長を愛してんだろ?羊飼いの娘じゃ物足りないぜ」


「いや、わからんぞ。なにせ、あのシア隊長様だからな。羊相手でも勇ましいに違いない」


「ははは、違いねぇ!並の男じゃ乗りこなせねぇな」


「おい、下品な言い方するんじゃねえ。隊長に」


「釣り合う男っつーと、リルアム統括くらいか?」