ドキッとした、なんてものではない。



金縛りに遭ったかのように…


魔法にかけられたかのように…




私は人形のように動けなくなった。



時間が止まった。





どれくらいの時間、見つめ合っていたのかわからない。



池と梅の木を隔てた向かいの廊下の窓から

想像していた通りの美しい姿の君…



サラサラの髪は父親でなく、母親譲り。



少し茶色い髪が開けた窓からの風になびいていた。


凛々しい眉毛も、切れ長の目も、昔とは全く違っていた。


でも、澄んだ瞳だけは変わっていなかった。



風が吹いたと同時に光君は、少し微笑んで、その場を離れた。