「ごめんな・・・俺が守ってあげられなくて。」



久しぶりに聞く光の声。




「光・・・あの子はどうしてる?泉輝は、元気にしてる?」




私は、光にときめくことも忘れ、愛しい我が子の様子を光に問う。



「泉輝のことは俺に任せて。俺が藤乃の分まで愛してやるから。」



光は、胸ポケットから一枚の写真を手渡した。



それは、成長した泉輝の写真だった。



まだあどけない笑顔しか知らない私には、その写真の笑顔がとても新鮮だった。



口を大きく開けて、顔をくしゃくしゃにして笑う泉輝。




「大丈夫だから・・・ 泉輝は、俺の弟だろ。安心して・・・」



光は、教会の椅子に腰掛けようとしたが、すぐに立ち上がった。




「もう行くわ。あんまり藤乃の顔長く見てると、また抱きしめたくなるから・・・」







精一杯、我慢して息子を演じてくれていた光に涙が溢れる。




「光・・・ごめんね。本当にごめんね。」





「泣くな・・・ 俺は、藤乃に会えて、幸せだった。一生、藤乃以上に愛せる女には出会えないよ・・・」





光は、右手を私の頭に伸ばし、ほんの少し触れるとその手を握り締め、自分のズボンのポケットへねじ込んだ。