顔が映るのではないかと思う程、美しく磨かれた床。


広い中庭を囲んだ廊下の窓も、曇りひとつない。




白梅がまだつぼみのままだった。




咲きそうで咲かない白梅は、なんだか胸の奥を切なくさせた。




あの少年がどのような姿に成長しているのか、私は想像を膨らませた。





父親譲りの長身で、髪は少し長め。


白い肌はあの頃と変わらず、唇がほんのりピンク色をしている。


声は低く、それも父親譲り。


鍛えられた筋肉が美しく、そのわりに繊細な指。






池の周りに2本の竹が伸びる。


梅の木が並ぶ庭の奥に…

光るものをみつけた。





池の水面に反射した太陽の光は、輝く瞳をさらに輝かせ、その光を私へ届ける。



切れ長の2つの瞳が、真っ直ぐに私を見つめていた。