結婚を決めてから、この家に来るのは初めてだった。


いつか会ったあの少年はいくつになっただろう。


澄んだ瞳と透き通るような白い肌が今も瞼の裏に焼きついている。





大きな屋敷の一番南側の部屋が私に与えられた。



広すぎる家。


お手伝いさんが多すぎて、名前を覚えることもできない程だった。




「息子に紹介しないといけないね。あいつは最近顔を見せないからな。」




外国の大使からのもらいものの葉巻を吸いながら、彼は少し寂しそうな表情を見せた。




あの頃…


私が初めてこの家に来た18歳の頃、彼は息子に夢中だった。


今までで一番愛していたという亡くなった奥さんの残した最愛の息子を溺愛していた。



幼い頃から習い事をさせ、勉強だけでなくスポーツもずば抜けて万能な少年。


今、どんな風に成長しているのか、とても興味があった。




「中庭を散歩してきますね。」



私は葉巻の煙が苦手だった。


煙から逃れ、長い廊下を歩く。