「打った?」


「ま、まだぁ。ちょっと待って。」


「まだ!?30分も経ってんだけど!」


実佑が眉をひそめて言う。
わたしはメールを打つのがすっごい苦手。


「あんた、メールだけじゃないじゃん。」


「そうだけどぉ。」


少し頬を膨らませてみるも、実佑はため息をつくだけだった。


「できた!」


「どれどれ?みして。」


私は実佑に携帯を渡す。
実佑の顔がみるみるうちに変わっていく。


「【実佑の友達の花憐です。】って何、これ!」


「え、何か変?」


「変も何も、もっと可愛い文章打てないの!?デコメとか、絵文字とか入ってないし!ギャル文字とか使わないの!?っていうか、30分かけてこれ!?そこに一番驚くんですけどー!」


「出米?何?それ。出た米の事?」


「メールに出た米って、どんな関連性あんのよ!」


「変換するので、やっとだったんだよぉ。」


「変換!?変換で30分!?あんた、ほんとに女子高生!?」


「うん、高校三年生。」


実佑はハアッとため息をついた。