「…ついたよ」


車から降りて、しばらく歩くと、お花畑があった。


「これ、紅花っていうんだ」


「紅花…?黄色いのに?」


一メートルほどある丈の花。黄色に咲いていて、“紅花”という名前なのは不思議。


「これから赤に変わっていくんだよ。赤になってる花は…ああ、あった。」


光さんは、赤く染まった花を一本取った。


「いいんですか?取って」


「うん、ここのご主人に許可をもらってるよ。どうしても君に、この花を見せたくて」


「私に、この花を?」


光さんは頷くと、こう言った。


「紅花―…別名、末摘花」


そう言って、光さんは私にその花を渡した。


「ほら、鼻の色がそっくり」


光さんはそう言って笑った。
少しむくれて、花を見た。


「末摘花の君」


「-え?」


「君は現代の、末摘花だね」