不器用な恋

「わ、私は、もっと綺麗で、今時の女の子みたいに、メールも器用に打てて…そんな、そんな女の子になりたかった」


私はポロポロと涙を落としていく。
つねった頬が痛かったからじゃない。


「オレは…今のままの、君でいいと思う。君が君だからこそ、オレも今まで君の事を忘れなかった」


ほ、ほんとに…?
ほんとに、私はこのままでいいの?


「君が人並みの美人だったら、忘れていたかもしれない。…そこまでアレだと…」


光さんはそこまで言って口を閉ざした。


「酷いです…、光さん」


「ご、ごめん」


「ありがとうございます」


そう言うと、また光さんは優しい笑みを浮かべた。


もう、光さんは会社に戻らないといけない時間。
また…会えなくなるのだろうか。


そう思っていると、光さんは携帯を出した。


「今度は、電話番号を教えてくれる?オレも、メールはちょっと苦手だから」


私を気遣ってくれたんだろうか。


私は頷いて、また赤外線というものに手間取って、やっとの事で、番号を交換した。