不器用な恋

「花憐さんは、魔法が使えるなら、何をする?」


遠い目をしていたかと思うと、いつのまにか私の方を向いていた。


…私?私、は…


「綺麗になりたい」


光さんと並んでも、誰も違和感を感じないほど…綺麗になりたい。


光さんは、小さく笑って、私の手をとった。


「君は、そのままでいいよ」


真っ直ぐな瞳でそう言われると、口を開くことも、動く事も出来なかった。


そのままでいい、なんて…今まで言われた事が無かった。
一番欲しかった言葉を、光さんに言われるなんて、これはやっぱり夢なのだろうか。


思い切って、頬をつねってみる。


「花憐さん!?」


私がいきなり頬をつねりだした事に驚いた光さん。



…痛い。
痛いという事は、これは…夢じゃない。


私の目は、ジワリと熱くなった。