不器用な恋

光さんは、何故か笑い出していた。
私が、突拍子の無い事を言ったからだろうか。


「花憐さんは、本当に面白い人だね」


光さんは笑って出た涙を軽く手で拭うと、私の目を見た。


…面白い、人?
そんな事、はじめて言われた。


自分はずっと、つまらない人間だと思っていたから。
光さんにそう言われただけで、胸の奥が暖かくなった。


光さんの一言で、真っ暗だった世界が、光が射すように明るくなっていくような感じ。


光さんは、不思議な人だ。


「もしかしたら、光さんは…魔法使い?」


「また、何を言うの?」


またまた、突拍子のない事を言ってしまった。
だって、そう思ったんだもん。


「魔法使い…か。そうだったら、どんなに良かっただろうか」


光さんは遠い目をしていた。


光さんの心の中では、私の知らない悩みや闇があるのだろうか。
光さんみたいに、綺麗で何もかも持っている人にも、悩みって、あるんだなぁ…。