スーツを着ている光さん…はじめて見た。


すごく、かっこいい。


光さんは私が見つめているのに気付いたのか、視線をこちらにうつす。


「出逢った時と、同じだね」


光さんはそう言って笑う。


覚えて…くれてたんだ。
私の事。


私はそれだけで胸がいっぱいになって、何も言えないでいた。


「今、会社の昼休みなんだ。 良かったら一緒にお昼、どう?」


私は頷く事しか出来なかった。


…これは夢?
…ううん、夢でもいい。


夢ならば、ずっと覚めないでほしいと、思った。



入ったのは、お昼のランチにしては高そうなレストランだった。


二人共ランチセットを頼んで、私は置かれたお冷を、緊張のあまりにグビグビと飲んだ。


「元気にしてた?」


たわいも無い一言なのに、なんでこんなに嬉しいんだろう。
光さんが話す度に、私は泣きそうになる。


「は…はい」


ろくな返事も返せないで、自己嫌悪。


せっかく、光さんが目の前にいるのに…!
なにか、なにか話さないと!


私は拳をギュッと握った。