少し肌寒いので、光さんからもらったマフラーを巻いていた。


すると、突然知らない人に、肩をつかまれた。


「オネーチャン、1人? 俺と遊ばない?」


知らない男の人の声に、昔を思い出す。


“冗談じゃねーよ、ブス!!”


また、そんな事を言われてしまうのでは無いかと、怯えて、振り向く事も、声を出す事も出来なかった。


「…花憐さん!」


そう言って私の手を掴む人―…。


それは、ずっと思い続けていた人……光さんだった。




私に声をかけた男の人は、光さんを見るなり、去っていく。


光さんは、さっきの男の人の姿が見えなくなるまで、睨んでいた。


私は、光さんをただただ見つめていた。


目の前にいる光さんは、あの頃のようでいて、あの頃よりも、もっと素敵になっている。


本当に、目の前にいるのが、光さん?
私は涙が出そうなのを必死で堪えた。