私はポカーンと、今聞いた言葉を疑った。


「樹里は、あなたの変わりに、見合いを受けました」


「え…?」


その瞬間、私の体に衝撃が走った。


樹里が、私の変わりに…?


「あの子、『花憐ちゃんには、光さんがいるから』なんて言って、あなたのかわりに見合いを受けてくれたのよ。あなたと違って、樹里の方が容姿端麗で要領も良いから、向こうのウケは確実に良かったわ」


私は、呆然と、ずっと聞いているだけだった。


「あなた、親の役にも立てなくて、いとこに面倒かけて、ただ、自分の惚れた男を待っているだけなんて、随分と自分勝手なのね」


叔母様は冷たい口調でそう言う。
私の目からは涙がポロポロと落ちていった。


「少し、調べさせてもらったけど、相手は源 光さんという、政治家の息子なんですね。顔はもちろん、頭も良くて、人柄も良いと聞きます。そんな方が、あなたに会いに来てくれるなんて、期待するだけ無駄だというものです」


叔母様は言い終わると、鼻息を荒くして出ていってしまった。