不器用な恋

「では借りるぞ…」


そう言って、マフラーを巻く。


…早!!


「待って、お兄様…」


バタン、と玄関のドアが閉まった。
私は俯いて、ただ玄関の前で立ちつくしていた。


樹里が戻ってきて、リビングのソファーでお茶を飲んでいた。
ティーカップを置いて、ひとつ、ため息をついた。



「光さんは、私の事なんて、忘れてしまったのかな…?」


私がそう言うと、樹里もティーカップを置いて、私の手を、ギュッと握ってくれた。


「そんな事無いよ、花憐ちゃん。こんなに想ってるんだもん。いつか、きっと会いに来てくれるよ」


ニコリと、笑ってそう言ってくれた。


「そうだ、花憐ちゃん。そろそろ、メール送ってみたら?」


「え?メールを?」


「アドレスが変わってなかったらいいんだけど…。手伝うからさ!」


樹里が、そう言うなら、頑張ってみようかな。
私は、携帯を取り出した。


「出た米って、どうやってやるの?」


そう言うと、樹里は首を傾げた。