「……ぶ…。」


「ぶ?」


彼は口を3の字をした一歩引いた。


「ぶぅっっっさいく―――!!」


彼は、心の底から叫んだ。
周りの人が振り返るくらいに。


彼の顔は崩れてしまっている。
せっかくのイケメンなのに。


「よ、よかったら、あなたのお名前も…教えて?」


「冗談じゃねーよ、ブス!!」


彼はそう言って、ダーッと逃げて行ってしまった。


ま、まただ…。
いっつも男の人を前にすると、緊張しちゃって。


「これで30人目ね。花憐。」


「実佑(みゆう)…。」


実佑は、私の友達。
何かと私に世話を焼いてくれる。


「何の数?」


「花憐の“後姿だけ”に惹かれて、顔みた瞬間、逃げ出した人数~。」


「数えてたの?なんで、みんな顔見て逃げるんだろうねぇ?」


「えぇぇえぇ!!あんた、まだ気付いてないのー!?」