そうして迎えた、次の休日。
「うわー……すごい雨」
窓の外はどっしゃどしゃのどしゃ降り。
屋外テニスコートの予約があっさり流れてしまった事に、しばしボーゼンとしながらふたりで外を眺める。
ああそうだ。自然公園の予定もお流れだ。
「テニスと紅葉は残念だけど、そのぶん水族館でのんびりしよっか」
気を取り直してそう告げると、紗和己さんも
「そうですね。同じ建物に大きな本屋もあるんでそこにも寄りましょうか」
と私に向かって微笑み返した。
大雨の中、辿り着いた水族館のある大型ビル。
そこの入り口前に立て掛けられていたのは――
『臨時休業』
「「え…」」
ふたり、まばたきを繰り返し目を疑う。
ボーゼンと立ち尽くす私たちに気付いた警備員のおじさんが
「昨日突然ビル内の天井が一部剥がれ落ちる事故があってね。急きょ全フロアメンテナンスになって今日は臨時休館なんですよ、すいません」
と教えてくれた。
どしゃ降りもビルの天井が剥がれたのも、当然だけど紗和己さんの責任じゃありません。
けど、こういう時、デートプランを考えた男の人はヘコむよね。
「なんかピリッとしないなあ、僕。本当にすみません」
「謝らないで、紗和己さんのせいじゃないんだから」
私の言葉に苦笑いをこぼし、紗和己さんは再び車のエンジンをかける。
「映画でも観に行きましょうか。ついでに近くで買い物をして」
それでも新しいプランの提案がサラリと出るところに 、彼のさりげない頼もしさを感じていたら――
『交通事故により通行止め』
映画館への道路はさっくり封鎖されていた。



