「やっぱりダメです。今日の僕はちょっとケダモノが過ぎました。次の休みはもっと文化的に過ごしましょう」


すっかり遅くなった晩ごはん(反省の意味を込めて紗和己さんが作りました)を食べながら大真面目に言うその姿に、私は疲労の滲む笑顔をヘラリと返す。


もうフォローしないぞ。
ここで許したら再びベッドへ拐われかねない。


「次の休みは外に出ましょう。そうだ、久しぶりにテニスに行きませんか?今からコート予約しちゃいましょう」


疲労を感じさせず意気揚々と語る紗和己さんに、私は彼の体力の底知れなさに密かに驚きながら茄子の餡掛けを食べた。


「その後は車で何処か行きましょう。水族館なんかどうです?オススメの所があるんですよ。で、夜はディナーを食べて帰宅、と」


キッチリした性格の彼は、よほど今日、欲望に負けた1日を過ごしたのが悔しかったのか、付き合いたてのカップルの如く張り切って次の休みの計画をたてた。

紗和己さんて、わりと極端な所もあるんだな。

なんて、新しい彼の一面に感心しながら玉子スープを啜る。


「じゃあ今度のお休みは1日中お外でデートだね。そうだ。自然公園の紅葉も見に行こうよ」


彼の提案に乗った私に紗和己さんは嬉しそうに頷き、終えた食事にご馳走さまと手を合わせた。


「紗和己さんの次のお休みっていつぐらいになるかなあ。来週にはとれそう?」


私も終えた食事に手を合わせ、シンクへと食器を運ぶ。


それを受け取って洗い物をしながら紗和己さんはちょっと考えてから答えた。


「来週にはとれるように調整します。月の中頃だからそんなに難しく無い筈だし。
…ところで美織さん、この後いっしょにお風呂入りませんか?」

「はぁっ!?」


驚くべき発言に否定を籠めたすっとんきょうな声を上げてしまった。


何をサラリと言ってるの紗和己さん。

生まれたての小鹿のように震えてる私の下半身が見えてないの。


「いや、もう何もしませんよ。ただいっしょに入るだけですって」


「ウソだー!紗和己さんケダモノだから絶対何かするよ!」


「大丈夫ですって、耐えますから」


「耐えるの!?まだ耐えなきゃならない程の性欲があるの!?」



激甘な新婚生活のとある休日は
彼の果てしないケダモノに軽く戦慄を覚えて終わった。