「よく来ますよね、鈴原さん」
新製品の売り込みと云う名目で、彼女はよくうちの店に顔を出すようになった。
そういう業者は他にもいるし、別段おかしくはないけれど、でも。
「ええ。わざわざこちらへ出向いて新製品の説明をして下さるんだからありがたい事です。彼女のサンキャッチャーに対する愛情が窺えますね」
嬉しそうにそんな事を言う彼が
来るたびに笑顔が増えていってる彼女が
サンキャッチャーと彼女を幸せそうな目で見つめる彼が
気に入らない。
5年間側に居て、4年間想い続けてきたんだ。
誰より彼を知っているんだ。
嫌でも分かってしまう。
私には決して向けられなかったあの眼差しが何を意味するのかも。そして
「鈴原さんと、お付き合いしてるんです」
こんな残酷な言葉が告げられる日が来るだろう事も、私は分かってしまっていたんだ。
「へー、オーナーああいうタイプが好きだったんだ」
大嫌いだ、あんな女。
「おとなしくて守ってあげたくなるタイプですよねー」
おとなしく可愛い子ぶってれば、男に助けてもらえると思ってるような女。
「いいなあ、可愛くて、サンキャッチャー作りの才能もあって。私もあんな風になりたいなー」
ズルい。そんな呑気な仕事をして、努力も苦労も知らないような顔して、あの人の心をあっさり奪っていくなんて。
大ッキライ。大ッキライ。
「お似合いですよ、オーナー。良かったですねえ」
どこがいいの。
あの女のどこが、私より勝ってると言うの。



