その日、家族全員が居間に集まったのは午前中の十時頃だった。

今から千早様がおばあちゃんを治してくれる。


期待に胸が高鳴る。

ドキドキする心臓に手をやると、一瞬だけズキンと左腕が痛んだ。


今朝、起きてもう一度左腕を確認してみたら、楕円の鱗がポツンと一つだけ浮き出ていた。

千早様が言うには、血の効果は本当に一時的なもので、またすぐに鱗が侵食を始めてしまうらしい。

けれど、龍の世界で血を飲めば一年くらいは発症しないとか。

龍の世界は龍の気に満ちているから、身体がその気を感じ取って、うんたらかんたら…とよくわからない小難しい説明をしてくれた。


まあ、ようするに私の龍化は龍の世界に行かないとまたひどくなるということだ。