あの日以来、俺たちの間に見えない溝ができている。

寧々は俺に声をかけようとしない。

俺も寧々に声をかけることができないでいた。

お互い、逃げていると言った方が正解かも知れない。

ダンス甲子園は…と言うと、1回戦2回戦と無事に突破し、準決勝戦に登りつめた。

後は準決勝を突破すれば、決勝戦…となるところだが、この状況に俺はどうすることもできなかった。

「最近、霧ヶ峰の彼女こないな」

休憩の時間、岩田さんに話しかけられた。

俺は飲んでいたスポーツドリンクを吹き出しそうになった。

「何かあったか?」

岩田さんが俺の顔を覗き込んだ。

「最近、忙しいみたいなんですよ」

俺はとっさにウソをついた。