そのもう一人。


水野君は私と目が会うと、さわやかな微笑みをプレゼントしてくれた。



うわっっ!!!


ど真ん中に直球はいった!!!



「いたッ・・・ああ!
こいつ、サッカー部の水野貴文」

咲良に見とれていた川瀬君は、その彼女にわき腹に肘入れられて我に返り、自分の役目を思い出したようだ。




「よろしく。えっと・・・」

「こいつが春田由紀。おら、挨拶」



「うッ・・・は、春田です・・・」

私のわき腹にも思いっきり肘で突いてきて、彼の前でキモいうめき声をだしてしまった。


自分で顔が赤く染まっていくのが分かって、うつむく。

第一印象きっと最悪だよ。


「んじゃ、お祭り参戦しますか!」



はじめこそ男女に別れ気味だったけれど、
川瀬君が犬のように咲良に構ってもらいたそうにしてたから、
だんだん私と水野くんは余る形になっていった。


半ば、バカップルの策略にも思えるけど。



「由紀ちゃん、」


「はいぃ!?」

声が裏返った!私ばっかりテンパッてて恥ずかしい・・・

だって、いきなり名前って!

「・・・って呼んでいい?」