「冴俊…?」



恐る恐るというような声で俺を呼ぶ声が聞こえた.



「あ?」


…っ?!



「…久しぶり….


オレンジだったから,


最初は誰だかわからなかったよ.


でも似合ってるね….」


彼女は,


昔と変わらずはにかみながら言った.



クリーム系の黄色い振袖姿が,


とても彼女によく似合っていた.



「じゃあ…

あたし行くねっ!」



そう言って彼女は立ち去ろうとした.



「っおい!」


「…?」


俺は半ば条件反射で彼女を引き留めた.


「あー,


この後の飲み,参加すんの?」


「うん,そのつもり.」



「…そん時ちょっと話せるか?」


彼女は少し驚いたような顔をした.


それでも,


うん,と,小さくそして強く頷いて,


その場を離れた.