俺たちはまもなく付き合い始めた.


俺は,告白なんかしたことがなかったから,


お前から告白してくるもんだと思ってたんだ.



でも,お前は相変わらず余裕で,


俺の方が我慢できなくなった.



「なぁ,


お前好きなやついんの?」



ガキみたいな質問に,


お前は一瞬目を丸くして,


それから一言,


「いるよ.」


と答えた.



あの瞬間,


俺は覚悟を決めたんだ.



お前が他の何処かに行ってしまう前に,



俺ならお前を全部面倒みられるんだってこと,


知っておいてもらいたかった.



「修ちゃんいるの?」



彼女は同じ質問を俺にした.




「いるよ.





お前.」






彼女は穏やかに笑っていた.




まるで,何もかも知っていたかのように.




もしかして,

全部わかっていたのか?



お前は自分のことは全然見えてないくせに,


周りのことはよく見えていたから.





俺らは付き合うことになった.


それでも,

これまでほとんど変わらず,


空いた時間を一緒に過ごしていた.



変わったことといえば,


彼女は俺のものだと堂々と言えるようになったことと,



彼女に触れられるようになったこと.


他の誰かにとられてしまうんじゃないかっていう不安は,



なかったといえば嘘になるが,


その瞬間を,その時を,



俺もお前も楽しんでいた.