なぁ,あのリボンで俺を誘ったのか?



そんなことを真面目に聞いたら,


お前はきっと,


鈴がなっているような愛おしい声で,



クスクスと笑いとばすんだろう?






俺は,自慢じゃないが,


顔は広い方だった.



広く浅くといった感じだ.



だから,


お前が俺より一つ上だってことはすぐにわかった.


必修の単位を風邪で落としたなんて,


お前がやりそうなことだ.



俺と違って,

お前は狭く深い人脈をもっていたから,


お前と知り合いの先輩を探すのは少し時間がかかったんだからな.



彼女と知り合いになる糸口をようやく見つけ,



俺は彼女と仲良くなった.



トークには自信があった.


最初は警戒気味だった彼女も,


相づちをうちながら,


俺の話を楽しそうに聴いていた.



連絡先を交換するのに,


それほど時間はかからなかった.



彼女は,


本当に鈍臭くて天然だった.


見ていて飽きない人だった.



一人で何もないところでつまずいては,


恨めしそうに俺の顔を見るんだ.



言っとくが,


俺のせいじゃないだろ?


彼女は,よく笑っていた.



一人で楽しそうだった.



だから俺もつられて笑った.



俺が笑うと,

彼女は満足そうに微笑んだ.



あの白いリボンは,


今でも付けているのか?