*雅弥side*

「クリスマスどっか行くのか?」


冴俊が聞いてくる.


クリスマスって気が早くねぇか?



「んや,たぶんバイト.」


「あいつと一緒じゃんw」


あいつって?


ああ,和泉か.


最近,冴俊は和泉のことばかりだ.


「あいつ誘ってやりてぇけどなぁ.

俺にも色々事情ってもんがなぁ…」


と,

冴俊は真面目な顔で言った.


多分,他人が聞けば,

何生意気な事を言ってんだってなるだろうけど,


こいつの場合,冗談じゃない.


中学の時,こいつにしては珍しく気になった子ができた.


その子からの告白で,


こいつもその子を大切にしようとした.


でも周りが黙っていなかった.



先輩も後輩もタメも女子はみんなその子に敵意を向けた.



こういうのってホントにあるのな.

正直,女って恐えと思った.


高校ん時も同んなじような事をがあって,


それっからはもう,

特定の女は諦めたらしい.


こいつがどの女の子とも仲良くできんのは,

もう癖のようなものだ.



俺がこんなんだから,

あいつが空気盛り上げるしかない.