呆然として見ていると,


神尾が私の視線に気づいた.



「何?"にゃん"も食うか?」


そう言って食べかけを私に向けてきた.



「いや,いらないです…」



食べるわけない.


芋ですよ,芋.


一口ちょうだいっw


わぁーおいしい〜w


なんて,芋であり得ますか.


「つれないなぁ〜wにゃんは」


どういうわけか,

この男は私を"にゃん"と呼ぶ.


最初は訂正を拒否を欠かさず申し立てていたのだが,


よくあることではあるのだけど,


訂正をしているこちらがしつこいという雰囲気になってしまい,


感じの悪い奴だと思われ始め,


訂正を口にするのは憚りのある事になってしまった.


言っても聞かない人に,

何を言っても無駄である.


こんな感じで,

周りが言うには親しみを込めて,

にゃんにゃん呼ばわりなのだが,



理屈で考えるような,

真面目にしか考えられないような,

冗談が通じない私には,


この自由で青い男が,

とんでもなく遠い世界の生き物に思えてならないのである.