声変わり【完】

「おはよう」
俺はその声に振り返ると目を疑った。
雰囲気が違う。
色っぽくなった……と言うのだろうか。
前までは目立たなかった部分に自然と視線を向けてしまう。
な、何を考えてるんだ俺は。
邪念を追い払うように頭を振るとなんでもないような顔を作った。
「おはよ。なんか、雰囲気変わったな」
そう言うと彼女は不思議そうな表情を見せた。
「え、そうかな。髪型ちょっと変えてみただけなんだけど……」
くるくると髪を指に絡ませてる動作が女の子らしかった。
彼女が俺の隣の席に座ると、ふわりと匂う。
甘い香り。
「……香水?」
「分かる?」
「好きかもこの匂い」
甘ったるい匂いではない、彼女らしい柑橘系の匂い。
前までは女の子って感じではなかったのに。
なんで
こんなに、ドキドキするのだろうか。
「あ、もうすぐ始まるよ」
「う、うん」
視線を前に向ける彼女をばれないように横目で見ると頬杖をした。
なんだろう、この気持ち。

彼Side・END