俺様王子様に振り回されて

こぼれそうになる涙をこらえるため、私はぐっと唇を噛み締める。




そして、立ち上がった。




ここで、ぐずぐずしてるなんて、嫌だ。





すぐそこで、森井が女を抱いてるのを察するなんて、まっぴらごめんだ。








私は、階段を下りる。






もしかしたら、佐藤は・・・さっきのを見せるために私を屋上に呼んだのか?








ふとそんなことが頭をかすめた。



階段を下りきると、佐藤が前に立っていた。




仁王立ち。


意地悪な笑みを浮かべている。






「石原さん、分かった?

あなたが千春に近づくのは身の程知らずなんだって。」


「・・・・・・分かんない。」


「は!?」




ありえない!というように首を振る佐藤。





「身の程知らずかどうかは、あんた達が決めることじゃないだろ。」



私はそう吐き捨てるように言って、走り出した。





「は!?ちょっ・・・石原さん!?」



佐藤のそんな声を無視して、私は裏庭へ全力疾走した。



廊下は走っちゃいけません、は、完全無視。







だって・・・もう・・・・・・



我慢、できない。







目から、涙が嫌って言うくらい大量に、あふれ出す。


嗚咽が漏れる。