俺様王子様に振り回されて

「石原。」


そう、声を、掛けられたのは。




この声・・・・・・


「森井?」



振り返ってみれば、やっぱり森井がいた。





森井は、視線が合うと、私に微笑みかけてきた。


<瞬殺☆王子様スマイル>だ。




・・・・・・・・・勘弁しろや。


あやうく、この私が乙女な反応しそうになっちまっただろうが。



なんて危ない奴、とか思っていれば。




「一緒に帰ってやる。」


とか言い放った森井。




うっわー。俺様発言・・・。


さすがだな。




とか思いつつも、森井を見て、昼休みのことが思い出された。



・・・・・・今日、森井はあの3年のセクシーな女を抱くんだっけか・・・。




そう思い出せば。


まともに森井の顔が見れなくなった。





「どうした?」


視線を逸らした私を、訝しげに森井が見ているのが察せられた。




「・・・なんでもねぇ。」


依然視線を逸らしたまま呟いた私。



「じゃ、なんで視線逸らすんだよ。」



不機嫌そうに森井は、私の顔を覗き込もうとした・・・から、私は速攻顔の向きを変えた。


かなりの早業。さっすが私!



とか自分を讃えていたら。





顎をつかまれ。




――くいっ



強制的に視線を合わせられた。