俺様王子様に振り回されて

私が荒れた理由。

司が女嫌いな理由。




一番に立ち直ったのは、兄貴だった。


栞さんという素敵な彼女に支えられ、一番に立ち直った。



次に立ち直ったのは私だった。


入った族は、温かくて、私は立ち直ることができた。



そして司は――未だに、立ち直れずにいる。



私や兄貴は、自分達のことで精一杯で。

司を気にかけてやれなかった。



司は、支えてくれる人に出会う事ができず・・・

女嫌いを続けている。








"複数の恋人"


そのワードは、私の心をかき乱す。











戻ってはいけない。



"あの頃"の私に。




彼女達は私に"もう来てはいけないよ。"と言ったのだから。






私は、立ち直ったのだから。








「・・・・・・・・・ハァ。」



思わず、ため息を吐いた。






違うだろ、私。


さっき彼女達が言ったのは、奴・・・森井のことだ。

お母さんのことじゃない。


それなのに、何、思い出してんだよ。

馬鹿らしい。




「私は、助けてもらったんだろ?

2度も。


恩は、返さなくちゃならねぇんだろ?」



自分に、言い聞かすように言葉を紡ぐ。