俺様王子様に振り回されて

そうして。


私が森井に何を教えたのかを知らせぬまま。





彼女達は去って行った。












小さな公園に、たった一人残された私。


暗い空を見上げれば、綺麗な三日月が見えた。






「・・・・・・頑張ろう・・・。」



そう思った時、携帯が軽やかな機械音を奏でた。




首を傾げつつ、耳に押し当てれば。




《あっ!茜ねえ!?》


「お、司。どうしたんだよ。」


なんか焦っているような司の声に、首を傾げれば。





《明にいがっ・・・・・・》


兄貴?




《お酒で酔って、面倒くさいことにっ・・・

「きゃっ!明君!ちょっ、司君見てる!!!」

「別にいいだろ~。司、目、つむっとけ。」


・・・・・・え、あ、うん?目、つむっとく。


「司君!目、つむってないで助けて!!!」


・・・・・・え、あ、はい?



えと・・・とにかく、早く帰ってきて。》





プッ、ツーッツーッ・・・










私はしばらく、切れた携帯電話を見つめていた。




司・・・なんでそんなことになってるんだよ・・・




呆れつつも、私は前を向いた。






とりあえず、帰るか。








私は、三日月に照らされながら、家へ向かった。