俺様王子様に振り回されて

「はははははっ!石原さんって鈍感だったんだぁ~」


ケラケラと笑いながら言ったのは、佐藤。




え。

鈍感じゃねーけど・・・。



「千春先輩も、苦労しますねぇ~」


笑いながら、しみじみと呟いたのは可愛い女子。





え。

どういうことだ?





なんとか、というように笑いを止めたセクシーな女子が、真剣に私を見た。



「伝えなさい。」




ぐっと、私の肩を掴んだ細くて綺麗な指。







「伝えなきゃ、駄目よ。あなたの気持ち。

他に好きな人がいるからって・・・伝えなきゃ、解らないじゃない。


もしかしたら、あなたに傾くかもしれないわよ?」





なんで・・・なんでそんなこと言うんだろう。


「可能性なんて、ほとんどねぇじゃん。」


「だからって、伝えないとか許さない。」


キッパリと言ったのは、佐藤。




「あのさ。可能性云々よりさ、まず気持ち伝えなさいよ。

気持ち伝えないなんて、ありえない。」


ギッと、私を睨む佐藤の言葉は、真っ直ぐに胸に刺さった。




「当たって砕けろって、よく言うじゃないですか。

駄目元だろうと、伝えてみてくださいよ。

じゃなきゃ、前になんて進めませんよ?」



1年生のくせに、諭すように私に言う、可愛い女子。





くそっ


ムカつく。



けど、けど・・・・・・事実、だ。






私は、このままじゃ前になんて進めねぇ。










ぐっ


セクシーな女子の指が、肩に食い込む。






「お願い。伝えて。

じゃないと私達も、前に進めないの。」