俺様王子様に振り回されて

口に出した後で、ハッとした。


な、なんて無神経な問いをっ・・・



あわあわと口を開けたり閉めたりする私に、セクシーな女子が意外にもさらりと言った。





「好きな子ができたんだって。」


「へ?」


「だから、千春は、私達なんかより好きな子ができちゃったんだって。」




そう言うセクシーな女子は、切なそうで、寂しそうで・・・愛しそうだった。


続きを、佐藤が言った。



「本当に本当に、好きだって断言できる子ができちゃったみたいなの。

もう、その子以外に"愛してる"なんて言えないほど。


好きな子が、できたんだって。」




佐藤は、怒っているようで、悲しそうで・・・やっぱり、愛しそうだった。


その続きを、可愛い女子が言う。




「その子しか見えないほど、好きなんだって。

その子以外の女子には、体も心も興味ないんだって。


だから、私達は欲しくないんだって。」




可愛い女子は、苦しそうで、泣きそうで・・・やっぱり、愛しそう。







『だから、私達は別れたの。』




ふわりと可憐な笑みを浮かべて、彼女達は声をそろえて、そう言った。














―――空が暗い。

この公園自体が、暗くなっている。



それなのに、その笑顔は、はっきりと私の脳裏にこびりついた。







森井・・・・・・そんなに、そんなに好きな奴がいたのか?










「ねぇ、あなたは?」



悪戯っぽく聞いてきたのは、セクシーな女子。






「あなたは、千春のこと、好きなの?」









ドクンッ



心臓が、音を立てた。