しかし、流れ込んできた声は、栞さんのものではなかった。



《石原さん?私、佐藤だけど。》


「は?佐藤?え、なんでっ・・・」




なんでいきなり佐藤から電話?



なんで私の携帯番号知って・・・って、前もなんか電話してきてたな、コイツ。




なんで知ってんだ?


私のプライバシーは一体どうなっているんだ・・・。






そう不安になった私を見透かすように、佐藤はさらりと言った。




《前、言ってなかったけど、石原さんの番号はね。


私が勝手にロッカーの中に入ってた携帯を取り出して、知ったものよ。


石原さんのプライバシーはきっちり守られているから、安心して。》






あぁ・・・体育倉庫に閉じ込められた時のことかな。



つか、それ、守られてるって言えんのか?





「・・・・・・佐藤ってこえー・・・」


《そうよ、怖いのよ、私って。


石原さん、とっくに解ってるはずじゃない。

私が怖いこと。》




思わず漏れた呟きに対する、クールな答え。


私は首を傾げた。




「普通、自分が怖いって認めるか?」


《さあ?解らないわね。人それぞれじゃないの?》


「そ、っか・・・そうだよな。」





佐藤の言葉に、頷いた。



十人十色って、いうもんな。






《私は、認めるわ。自分が怖いって。

私自身が誰よりよく知ってるから。》




佐藤の声は、何かを噛み締めているようだった。






《・・・石原さん。あのね、私・・・ううん、私達。

あなたに、言いたいことがあるの。》


「言いたいこと?」



私はオウム返しに聞いた。



あまりに真剣な口調の佐藤に、気圧されそうだ。